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新しくぬか床を作るとき、捨て漬けが必要です。
捨て漬けとは、ぬか床に乳酸菌を入れて、それを増やす作業のこと。
実は、作りたてのぬか床には乳酸菌はいません。だから、野菜を入れても塩辛くなるだけ。
だから、ぬか床に乳酸菌を入れるために、捨て漬け用の野菜を入れてあげます。
なぜそんなことをするのかいうと、野菜の表面には乳酸菌がいるから。
野菜に付いている乳酸菌をぬか床に移し、それをぬか床の中で増やすのです。
先日、久しぶりにぬか床を作り、捨て漬けをしました。
今回は、捨て漬けの様子(約2週間)を写真付きでレポートします。
ちなみに、ぬか床作り&捨て漬けをしたのは4月です。
そして、ぬか床作りを始めるベストシーズンは春なのですが、その理由も説明します。
ぬか床の捨て漬けのやり方
・捨て漬けの野菜選び
・捨て漬けに必要な日数
・実際の捨て漬けの様子
の順番で説明していきます。
捨て漬けの野菜選び
捨て漬けには、くず野菜を使ったほうが良いと言われています。
くず野菜とは、大根の葉っぱとかキャベツの切れ端とか、普段なら捨ててしまうような野菜のこと。
なぜ、くず野菜が良いかというと、捨て漬けした野菜は塩辛いだけで美味しくないから。
「どうせ食べられないなら、捨ててしまうような野菜でやればいいよね」ということです。
ですので、くず野菜があれば、それを使ってください。
しかし、くず野菜がタイミング良く手元にあるとはかぎりませんよね。
くず野菜のためにわざわざ野菜を買うのは勿体ないです。
ということで、私はキャベツを丸ごとを捨て漬けの野菜にしています。
私がキャベツを選んでいる理由は、お金がかからないから。
捨て漬けの期間は、2〜3週間くらいなのですが、キャベツが1個または2個あれば足ります。
くず野菜のために野菜を買うより、この方が安く済みます。
それにキャベツは表面積が大きいので、ついている乳酸菌も多いはずです。
でも、「キャベツ以外はダメ」ではありませんよ。
キュウリ、人参、大根とか、普段ぬか漬けするような野菜でもOKです。
キャベツを捨て漬け野菜にしたときの難点は、ぬか床から取り出しにくいこと。
へなへな状態のキャベツを雑に扱うとちぎれてしまうし、絡みついた米ぬかを取ってぬか床に戻す作業が面倒です。
捨て漬けの期間は2〜3週間
捨て漬けの期間は、およそ2〜3週間くらい。
「何日で捨て漬けが終わる」みたいな、きちんとした線引きはありません。
「2〜3週間くらい捨て漬けすれば、漬けた野菜もようやくぬか漬けっぽくなる」ということです。
ぬか漬け作りを始める時期、捨て漬け野菜の種類、その他もろもろの条件で捨て漬け期間は変わります。
捨て漬けの様子をレポート
先日の捨て漬けの様子をレポートします。
こちらが作りたてのぬか床
すでに捨て漬けの野菜(キャベツ)を入れています。
これが3日後のぬか床
見た目は何も変わらないですね。
でも、野菜に付いている乳酸菌がぬか床に移っているはず。
捨て漬け野菜をすべて取り出します。
この時、野菜に付いたぬか床をしっかり取って、それを容器に戻すこと。理由はあとで説明します。
ちなみに、この時、キャベツを食べてみましたが、塩辛い&米ぬかの味しかしなくて、酸味はゼロ。ぬか漬けとはほど遠いものでした。
ぬか床をかき混ぜて新しい捨て漬け野菜を入れます。
こんな感じで、
野菜を入れる
↓
数日放置
↓
野菜を取り出す
↓
新しい野菜を入れる
これを何度か繰り返して、野菜についている乳酸菌をぬか床に移していきます。
さらに3日後(捨て漬け開始から6日後)のぬか床
やっぱり見た目は変わらないですね。
捨て漬け野菜を入れ替えます。
さらに3日後に捨て漬けする予定が、できずに4日後になりました。
でも、1日くらいズレても大丈夫。
その時の(捨て漬け開始から10日後)のぬか床
やっと見た目に変化あり。
表面が薄っすら白くなっています。
スプーンで表面を一部削ってみる。
表面が白くなっているのが分かります。
これはぬか床の表面に出る産膜酵母と呼ばれる酵母菌。
酵母がいるなら乳酸菌もいるということです。
4回目の捨て漬けをします
菌がいるのが分かったので、ぬか床をしっかりかき混ぜる。
4回目の捨て漬け完了
捨て漬けしたキャベツを食べてみると、まだぬか床の味が一番強くて、その次に塩辛さを感じますね。
しかし、少しだけ酸味を感じました。
ただし、その酸味はほんの少しだけ。
ですが、きちんと捨て漬けは進んでいます。
5回目の捨て漬け(捨て漬け開始から12日後)
前回から2日経ったぬか床
産膜酵母ができるのに、前回は4日間、今回は2日。
いい感じです。
5回目の捨て漬けをする。
捨て漬けのキャベツを食べてみる。
前回より、ぬか床の味が少なくなり、酸味が少し多くなっています。
その変化は少しだけです。
でも、捨て漬けは着実に進んでいます。
前回から2日後のぬか床(捨て漬け開始から14日後)
6回目の捨て漬け完了
ぬか床を作り、捨て漬けを始めて2週間経ちました。
捨て漬けのキャベツは、日が経つにつれて確実に酸味が強くなっています。
ただ、米ぬかの味はまだ残っているので、もう少し捨て漬けを続けることにしました。
前回から2日後のぬか床(捨て漬け開始から16日後)
7回目の捨て漬け完了
前回から2日後のぬか床(捨て漬け開始から18日後)
8回目の捨て漬け完了
前回から2日後のぬか床(捨て漬け開始から20日後)
かなり表面が白くなっています。
9回目の捨て漬け完了
前回から2日後のぬか床(捨て漬け開始から22日後)
9回目の捨て漬け完了
前回から2日後のぬか床(捨て漬け開始から24日後)
この日で捨て漬けを終わらせることにしました。
ぬか床の捨て漬けに関する注意点
ぬか床の捨て漬けに関する注意点を3つ紹介します。
捨て漬け期間は何日必要か?
改めて捨て漬けの期間についてお話します。
今回、捨て漬けをした期間は24日間でした。
2週間を超えた頃から少しずつ酸味は感じられたので、その時に「これくらいでいいか」と思えるなら、そこで捨て漬けを終わらせて構いません。
「もう少し酸味が強くなるまで待とう」と判断したなら、もうしばらく捨て漬けを続けます。
その判断は個人の好みや感覚で変わります。
2〜3週間と説明しているのはそういうことです。
野菜についた“ぬか”はできるだけ容器に戻してあげること
捨て漬けの野菜を取り出すとき、その野菜についている“ぬか”は、洗い流すのではなくて、できるだけ容器に戻してください。
なぜなら、初期のぬか床は乳酸菌が少ないので、野菜についた“ぬか”の乳酸菌を逃したくないから。
ぬか床に乳酸菌を定着させるために捨て漬けをしているのに、その乳酸菌がいる“ぬか”を洗い流すのはもったいないですよね。
ぬか床を作るベストシーズンが春である理由
ぬか床を作るベストシーズンは春です。
なぜなら、ぬか床にとっての適温は20度〜25度だから。
この温度の時に乳酸菌がきちんと活動して増えてくれます。
ぬか床が熟成するには数か月かかることも。
春に始めれば、春、夏、秋と温かい期間が長く続くので、この時期に始めるのが一番良いのです。
でも、夏や秋でも全然OKですよ。
ただ、夏は、暑すぎるので温度管理に気を使います。
秋は、気温がどんどん下がっていく時期なので、乳酸菌の活動が鈍くなるという意味でベストシーズンとは言えません。
冬はオススメしません。
温度が低いので乳酸菌の活動が鈍く、ぬか床が育ってくれない!
自家製ぬか床を持っている人が、それを冷凍庫に入れてぬか漬け作りを休んでしまうくらい、冬は厳しい時期なのです。
ネット通販のぬか床に頼る手もある
作ったばかりのぬか床は、酸味がなく、塩辛くて米ぬかの味しかしません。
少しずつ時間をかけて美味しくなってくれますが、納得できる味になるには数か月かかることもあります。
もし、それに満足できないなら、ぬか床が熟成するまでは、ネット通販で熟成ぬか床を取り寄せても良いでしょう。
自家製ぬか床を育てつつ、買ってきた熟成ぬか床でぬか漬けを作って食べるのです。
秋から冬にぬか床作りをすることになる方は、あえてぬか床作りをせず、熟成ぬか床でぬか漬けを作って食べて、春になってからぬか床を作り始めても良いでしょう。
私もぬか漬け作りを始めたきっかけはネット通販で買った熟成ぬか床なんですよ。
ぬか床がネットで買えるなんて、私の親世代では考えられないことです。
本当に便利になりました。
いきなりぬか床作りをするのが面倒なら、ネット通販のぬか床でデビューするのもアリだと思います。